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インドネシア環境森林大臣がW-BRIDGEの住民参加型森林回復サイトを視察

2016年9月23日掲載

2016年8月27日に、インドネシアのSiti Nurbaya環境森林大臣が、南カリマンタン州のW-BRIDGE住民参加型森林回復サイトを視察されました。

インドネシアの南カリマンタン州のTanah Laut県には、度重なる山火事等により森林が荒廃した国有林が散在しています。そこで、早稲田大学と(公財)国際緑化推進センター及びLambung Mangkurat大学は、2012年より住民参加による森林回復をW-BRIDGEプロジェクトとして実施してきました。

荒廃した国有林において、山火事を防止し森林を回復するためには、地域住民が森林管理へ参加することが不可欠です。そこで、同国の住民林業制度(HKM)を適用して、地域住民が国有林を長期間使用できる権利を確保しました。また、荒廃した国有林は、水源かん養機能の回復のために伐採禁止の保安林に指定されていました。そこで、森林を伐採せずとも、地域住民が樹液等を収穫から利益を得ることができるゴムノキを植林樹種として選定しました。

南カリマンタン州では、ブリヂストン株式会社の現地法人PT. Bridgestone Kalimantan Plantation(BSKP)がゴム農園を経営しています。そこで、BSKP社に協力を依頼し、地域住民グループへのゴムノキ栽培技術指導及び優良品種ゴムノキ苗木の無償提供をして頂きました。

このようにして、地域住民グループは、2016年までに、荒廃した国有林内約47ヘクタールにゴムノキを植林しました。植栽から約5年後には、ゴム樹液の収穫が開始できる予定で、地域住民の貴重な収入源として期待されています。また、当プロジェクトの指導により、地域住民は、周辺に残存する天然林を保全するとともに、ドリアン等の果樹も植え込むことにより、生物多様性にも配慮しています。2015年のエルニーニョ現象による異常乾期においても、地域住民は自らの財産である国有林内の植林地及び周辺の天然林を山火事から守りました。

当活動は、森林回復と維持、地域住民の生計向上等の社会課題を解決する持続可能な先進的なモデルとして、インドネシア国内で非常に高く評価されています。同国各地から政府林業関係者が視察に訪れ、同国の住民林業制度の推進政策に大きく貢献しています。その貢献が認められ、2016年5月には、本プロジェクトの地域住民グループに対し、約400ヘクタールの土地利用権が与えられました。

今回、Nurbaya大臣は、ジャカルタからカリマンタン島を訪れ、同サイトを視察するとともに、記念植樹を行いました。また、本プロジェクトへの日本側の支援に対し、謝意を述べられ、持続的な森林管理と地域住民の生計向上に有効な本モデルが、他地域へ拡大することについて期待を示されました。

W-BRIDGEでは、本事例のように、地域課題を解決する持続的な住民参加型のモデルを構築し、その情報を発信することで、広く社会に貢献することを目指しています。

【視察風景 前列左から Daryanto社会林業総局長、Nurbaya環境林業大臣】
【村の農民リーダーと握手】